2010年2月14日日曜日

伝統を有り難がる人へ

三重県桑名市の多度大社と同県東員町の猪名部(いなべ)神社で春に行われる県指定無形民俗文化財の「上げ馬神事」について、県文化財保護審議会が 神事を現地視察し、文化財指定にふさわしいか調査することが分かった。

南北朝時代に始まったとされる多度大社の神事は1978年、猪名部神社は2002年に文化財指定された。いずれの神事でも、急斜面を馬に乗って駆け上がり、駆け上がった馬の数で稲作などの豊凶を占う。馬を興奮させるため「つくる」と称してたたく習慣 があるほか、興奮剤を与えている可能性があるとして、96年ごろから動物愛護団体が「虐待だ」と批判している。また県教委によると、未成年者が飲酒して騎 手を務めている疑いもあるという。県教委は地元住民ら主催者側に改善を求めてきたが、「馬の不適切な扱いが改善されていない」と判断し、調査を決めた。(毎日新聞、2010.2.14 より)

言葉の魔力ともいうべきか、言葉そのものに価値の強い場合は要注意だ。上の記事では伝統、長くやっているから即、よいというわけではない。ましてや動物の「人権」(馬権など)や未成年の飲酒問題(未成年と成年の線引きが法的に決められたのは明治になってから)などが、遠く昔に取り上げられたはずもない。平安時代の貴族が男女平等じゃなかったと怒っても仕方ないのと同じだろう。そもそも、本当にそれほど長く続いてきたのかどうかも怪しい場合があるからなあ。

教育学の分野なら、古くは師弟同行、今なら連携・協働。古くは「なせばなる、なさねばならぬ、何事も…」、今なら「すべては子どものために」といった言葉。ことばはどうしても価値と無関係にはいられないけれど、それでも頑張って、より価値中立的であるように、お互い工夫しようよ。

ことばに騙されないこと、それを使っている他者や自分に酔わないこと、言葉でしかなかなか語れない教育の世界には高いハードルですぞ。

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