2009年2月16日月曜日

シンガポールの「割り切り」

NHK「沸騰都市、シンガポール-世界の頭脳を呼び寄せろ」を観た。

水資源がないという弱みを生かして、助成金や研究費をテコに水関係の会社や研究者を誘致していることに例示されるように、ここでは国家が率先して優秀な人材を海外から集めることで、「豊かさ」を追求している様子がよくわかる報道だった。

外国から招聘された研究者や会社経営など限られた職種は厚遇されているものの
査定がきわめて厳しく、一流研究誌に論文が掲載されないとポストを追われかねない状況だ。一般の外国人労働者には人材管理会社への登録が義務づけられるが、かといって仕事が保証されるわけではない。しかも滞在許可は2年間。

さらに驚いたのは、半年ごとに外国人労働者の女性が妊娠検査を義務づけられていること。この国で出産することのないように、シンガポール人以外の人口が増えないようにという明確なメッセージが読み取れる。


世界的な経済危機のなか外国人労働者への就業が進んでいないことを新聞記者に質問された現首相は言う。「はっきり言って、外国人は調整弁です」と。この首相が率いる
政党(人民行動党)は議会84議席中、82議席を占める。反対勢力はない。

シンガポール人のための国づくりという目標は明確だ。それが世界全体のことを考えていなくても。あるいは、そうしたことはおよそ無理なのだから、自分たちのできるところに専念しようという考えともいえる。既存の国家の
「純粋さ」を守ろうとするシンガポールだ。

たくさんの外国人を「お客さん労働者」として、そして難民として長い間にわたって受け入れてきたドイツ。「学力向上」ひいては国民的統合を図ろうとするも難しい面を抱えている。学校とコミュニケーションの難しい保護者、家族主義ゆえにドイツ語をなかなか獲得できない子ども、文化的背景を伴う衝突…。

こんな国々にあって日本のこれからは? ここでも次の局面がもう目前に迫っていることを感じさせられる。

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