塚越寛『リストラなしの「年輪経営」』を読んでいる。
部分的には疑問もあるが、おおよそ共感できる。その一つは、社員が幸せになる会社づくり、という基本ポリシーであり、これを実現するためにも、「神は細部に宿る」というべきか、「そんな小さなことに…」こだわって大切にことを進める、という下りだ。
何が大事か小事かはわからない。小さいと思われることが大事故につながることもある(これは、ハインリッヒの法則にも合致している)。だから、当たり前のことを懸命に。なにごとも丁寧に、ものやことを大切に。わかっていたつもりだが、浸みる文面だった。
そんなこともあって、けさ私鉄を降りようとしたとき、車両の床に小さな釘が落ちているのが目に入った。拾おうかなどうしようかなと迷ったけれど、先の本の話が思い出されたので、つまみあげ、この列車の乗客の出入りを確認していた車掌さんに差し出した。
車掌さんは、帽子をとってお礼を述べたあと、「座席の上でしたか」と確認された。私の返事を待って、彼は列車を発車させていった。実にすがすがしいシーンだった。
小さなことは取るに足らないかもしれない。でも、それが大事な一場面だったりすることは、後になればよくわかる。
けっして目立たないかもしれないけれど、「プロの味わい」を感じさせられた一日だった。先の本は強調する、「経営とは遠きをはかること」。これを座右に置きながら、毎日を過ごしたいと思う。評価や競争がなくとも、「いい仕事」ができることの理由を得て、自信を持って自分のやるべきことに向かいたい。
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