2010年1月6日水曜日

「表現の自由」論再燃

年の初めにも、大きな出来事があった。

ムハンマドに火の点いた爆弾の形をしたターバンを巻いたような風刺をしたデンマークの画家、Kurt Westergaard氏が、斧とナイフをもった27歳のソマリア出身のイスラム教徒に自宅を襲われた。5歳の孫娘とともに浴室に逃げて鍵をかけた彼はどうにか難を逃れ、駆けつけた警官が犯人に発砲、逮捕したという。

2005年の風刺ではイスラム教に対する冒涜と世界的に非難が起こり、彼や他の画家に対する抗議として、150名もの自殺があった。現在75歳になる彼は、このことに責任を感じているとも後悔の念を示すとも述べておらず、表現の自由を守るための寄稿と自らの作品を位置づける(以上、http://www.sueddeutsche.de/politik/による)。

デンマークにおける「異文化」や「外人(よそ者)」に対する見方、というバイアスを考慮しなければならないが、一般論として捉えるならば、「ペンは剣よりも強し」とペンを振るわれた側にとっては、「弱い」剣で立ち向かわざるを得ないとも言えるだろう。この一方で、「いかなる場合も暴力はいけない」という主張も可能だろうし、「ペンによる暴力は含まれないのか」と反論も可能だ。

自分の自由と他者の安寧は両立するのか。何十年と経っても、常に同じ基本問題に戻らざるを得ないということなのだろう。

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